6月に入り、スーパーで笹の葉を見かけるようになると、
「今年もそろそろちまきの季節だな」と思います。
私の作るちまきは、もち米を笹で包み、イ草でくるっと結び、お湯でコトコト茹でて仕上げる新潟風。
出来上がったら、きな粉をたっぷりまぶしていただくのが我が家流です。
毎年この時期に、娘と一緒に作るのが恒例になりました。
小さな行事だけれど、こうして親から子へ伝えていけるのが何よりうれしい時間です。
スーパーに笹が並ぶと、ちまきの季節がやってくる

旧暦の端午の節句が近づく今頃、スーパーに笹の葉が並び始めると、「ああ、今年もちまきの季節がやってきたな」と感じます。
子どもが小さかった頃にはよく作っていたちまきですが、長い間作ることもなく過ごしていました。そんなある年、娘から「作り方を教えてほしい」と言われたのがきっかけで、またちまき作りを再開するようになりました。
近所のスーパーで材料をそろえて上京し、娘と一緒にちまきを作るようになって、今年で3年目になります。
最初の年は、すっかり忘れていたイグサの結び方に戸惑いながら、YouTubeで「新潟ちまきの結び方」を検索して、試行錯誤しながら作りました。
それ以来、この時期に親子でちまきを作るのが、わが家の恒例行事となりました。
今年もまた笹の葉を用意して娘の家を訪ねました。昨年まではお付き合い程度だった孫たちが、今年は「おいしい!」と喜んで食べてくれたのが、とても嬉しかったです。
私が作るのは、三角のチマキです

私が毎年作っているのは、笹の葉で包んだ三角形のチマキです。
ちまきの包み方はどれも似ているように見えますが、地域や家庭によって微妙に違いがあります。あるとき、福島市役所のホームページで紹介されていたちまきの作り方を見たところ、包み方は似ているのに、結び方が私の覚えているものとは少し違っていて、驚きました。
私が母から教わったのは、新潟風の結び方。
母が新潟県の出身だったこともあり、わが家のちまきも自然と「新潟ちまき」になりました。
何が違うかというと、イグサの結び方です。母のやり方は、表も裏もどちらから見ても、真ん中に結び目が来るように仕上げるのが特徴でした。
笹の包み方は今でも手が覚えていますが、イグサでの結び方はちょっと難しくて、久しぶりに作ったときにはうまくいかず、YouTubeで「新潟ちまきの結び方」を調べて確認しました。
しっかり結ばないと中のもち米がこぼれてしまうので、ここがちまき作りの大事なポイントです。
ちまきと言えば本来は「こどもの日」に食べるものかもしれませんが、私が使う“笹の葉”は、毎年この旧暦の端午の節句の頃にならないと店頭に並びません。だから、わが家のちまき作りはこの時期が定番です。
出来たての、湯気の立つちまきに砂糖入りのきな粉をたっぷりつけて頬ばる。
この瞬間がたまらなく美味しくて、子どもの頃の一番の楽しみでもありました。
懐かしさと、美味しさ。どちらも味わえる、私の大切な初夏の風物詩です。
親子で作る「新潟風ちまき」の魅力――懐かしの味を、次の世代へ

もち米を笹で包んで茹で、きな粉をたっぷりつけて食べる――
そんな素朴なちまきが、子どもの頃のおやつの定番でした。湯気の立つ、あの香りと味は、いまでも忘れられません。
けれど、作らなくなってしまうと、いつの間にか作り方も記憶の中から遠ざかってしまうものですね。実際、私はもう何年も作っておらず、3年前に娘から「ちまきを作ってみたい」と言われたことで、久しぶりに思い出したのでした。
いざ作ってみると、特にイグサでの結び作業は思いのほか難しく、「三角の裏表の真ん中に結び目が来る」「ひもは同じ場所に2回通す」など、母に教わった細かなポイントが記憶の片隅に…。
娘と一緒に動画を見ながら試行錯誤。
娘が作ったちまきは、ぐるぐる巻きになったり、いろいろな“個性的な形”になりましたが、「お米が出てこなければ、まあいいか」と笑いながら包んだのも、楽しい思い出です。毎年少しずつ上達していくのも、また嬉しいものですね。
娘はきっと、「忘れないために」そして「いずれ孫に伝えるために」、毎年この時期に作り続けたいと思っているのかもしれません。そんな姿勢に、私も背中を押されています。
ただ、笹の葉はなかなか見つからず、東京ではスーパーに並ぶことが少ないそうです。私の住む地域でも、今年は出回るのが遅かったようで、少し早く探しすぎて見つからず、生協でやっと手に入れて上京しました。
ところが一昨日、いつものお店で大量に並んでいるのを見かけて、「ああ、今年もちまきの季節が来たな」としみじみ感じました。
その勢いで、今年は我が家でも作ってみようと思い立ち、笹を購入。50個のちまき作りはなかなかの大仕事ですが、出来上がったら冷凍して、少しずつ味わうつもりです。息子にも、何個か送ってあげようかなと考えています。
懐かしくて、家族のつながりを感じられるちまきづくり。今年もまた、心あたたまる時間が始まります。
写真で見る|わが家のちまき作り

スーパーに笹の葉が並ぶと、「ああ、今年もこの季節だな」と感じます。
米と笹をきれいに洗い、イグサを水につけて準備は完了。笹でもち米を包みイグサでしばり茹でる時に米が出て来ないようにしっかりと結びます。
材料と作り方|新潟風ちまきのレシピ
- 材料(もち米、笹の葉、イ草、きな粉など)
- 下準備(笹の柔らかくする方法など)
- 包み方としばり方のコツ
- 茹で時間の目安
- きな粉のつけ方や食べ方の工夫





蒸気にのって笹とイ草の香りが台所いっぱいに 広がる時間も、楽しみのひとつ。



きな粉の甘さともち米のやさしい味わい。 シンプルだけど、これがいちばん美味しい。
受け継ぐことの意味|小さな行事がつなぐ親子の時間
一年に一度、娘たちと一緒に取り組むわが家のちまきづくり。
一枚一枚の笹にもち米を包んで、イグサで結び、形を整える――そんな手間のかかる作業も、家族で囲んで取り組むと、かけがえのない時間になります。
結び方がうまくいかず、思わずいらいらすることもありますが、「中のお米さえこぼれなければ、結び方は多少違っても大丈夫」と、今ではおおらかに構えるようになりました。
私の母は新潟出身で、結び方や形にも厳しい人でしたが、私は“それなり”でもいいと思っています。毎年繰り返すうちに、自然と手が慣れ、少しずつ上達していけばいい――そう考えるようになりました。
ちまきには、「邪気を払う」という意味もあるそうです。何年続けられるかはわかりませんが、できる限りこの小さな行事を大切に続けていきたいと思っています。
そして、娘が覚え、いずれ孫へ伝えてくれたら…それはきっと、私にとって何よりうれしいことです。
作業を終えた後は、米やイグサが散らばった作業台の下を一緒に片づけ、ちまきは水に一晩つけて、翌日1時間ほど茹でてようやく完成します。
手間も時間もかかる昔ながらのちまきづくり。
そののんびりとした時間が、娘や孫の心に「楽しかったな」「また作りたいな」という思い出として残ってくれたなら、こんなにうれしいことはありません。
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