旅の2日目、夕方からは函館山へ夜景を見に出かけました。あいにくの雨模様でしたが、「世界三大夜景」のひとつと言われるその景色は、期待以上の美しさでした。バスを利用して向かった展望台では、偶然の出会いや感動の風景が待っていました。シニアのひとり旅でも、こんなに心が震える瞬間があるのだと実感した一日です。
函館山へはバスで出発!


函館山に行こうと思っていた二日目の午後、あいにくの雨。
ロープウエイ、バス、タクシーといくつかの行き方がありますが、私はバスを選びました。理由は、ロープウエイが少し苦手だったことと、節約の意味もあってのこと。ロープウエイは、往復1800円、バスは片道250円で、山頂まで直通で行けます。
函館駅前のバス停には行列ができていて、私が並んだ時にはすでに1便分の定員オーバー。
係の方に「次のバスになります」と言われましたが、幸い10分もしないうちに次の便が到着し、無事に乗車できました。
◆山道に入り、車内が真っ暗に
バスがいよいよ山道に差しかかると、「これから車内の明かりを消します」とのアナウンス。
室内の照明が消され真っ暗な中、外の夜景が少しずつ見えてきました。
途中、木々の間から夜景が垣間見えると、車内からは自然と「わあっ♪」という歓声が上がります。
雨の中でもその光景は本当に美しく、期待がどんどん高まっていきました。
◆雨の中でも圧巻の夜景
函館山展望台に到着し、傘を差しながら夜景を眺めました。
テレビや写真で何度も見たあの景色。でも、自分の目で見るとやはり違いますね。
しばらく言葉も出ないほど見とれてしまいました。
雨の中で見る夜景は、幻想的でロマンチック。
カメラを手にしながら、心のシャッターも何度も切りました。
◆展望台での出会いも旅の思い出に
展望台のお土産売り場を見て回ったあと、帰りのバスを待っていると、たまたま隣に並んだ女性に話しかけられました。
お互い同じ県内から来ていたことがわかり、一気に会話が弾みます。
その方もひとり旅。しかも私よりもひと回りほど若いその方も、私と同じように今回が初めてだそうで、大き目のリュック一つで来られたそうで・・階段の上り下りにキャリアカートは不便だという話に納得。
これからの一人旅の参考にしたい、出会えたことに感謝しながらホテルへと戻りました。
短いバスの乗車時間でしたが、思いがけない旅仲間との出会いに、心が温かくなりました。
心震える体験
雨の中でも出かけてよかった函館山。
世界三大夜景と言われるだけのことはある素晴らしさに、心が震えるような体験でした。
そして、旅先での出会いがあるのも、ひとり旅ならではの魅力ですね。
70歳のひとり旅、思い切って出かけて本当によかったと感じた夜でした
実はこの日、午前中にはもうひとつ心に残る出会いがありました。
金森赤レンガ倉庫、旧函館区公会堂へ





実はこの日、夜景を見に出かける前に、もうひとつ素敵な出会いがありました。
午前中、ひとりで金森赤レンガ倉庫を散策し、歩き疲れてベンチでひと休みしていたときのことです。
「旧函館区公会堂へ行きましたか? タクシーで800円くらいなので、一緒に行きませんか?」
そう声をかけてくれたのは、同じようにひとり旅をしていた女性でした。
タクシーを探してみたものの見つからず、「歩いて行けるかもしれませんね」と、ふたりで坂道を登って向かうことに。
名前も知らない相手なのに、不思議と気が合って、まるで以前からの知り合いのように話が弾みました。
明治43年(1910年)に建てられた旧函館区公会堂は、国の重要文化財に指定されている歴史ある建築物です。
ブルーグレーとイエローのコントラストが美しい西洋風の木造建築で、かつては皇族の宿泊にも使われた格式ある館でした。
入場料は300円。
館内に入ると、広々としたホールやバルコニー付きの部屋、貴賓室などがあり、明治・大正時代の雰囲気をそのまま感じられます。
とくに印象的だったのが、部屋ごとに異なる床のデザイン。
六角形や四角形の寄木模様(パーケットフロア)が施され、まるでモザイクのような繊細で美しい木目が広がっています。
北海道産の木材も使われているそうで、幾何学模様の床が、館全体のクラシックで温かみのある雰囲気を引き立てていました。
床の模様に見入った私たちは、「これは珍しいですね」と感心しながら各部屋を巡りました。
豪華で優雅な造りの館内は見応えがあり、写真を撮り合いながらゆっくりと見学を楽しみました。
ちなみに、函館到着の初日は、ホテル近くの五稜郭タワーや奉行所を徒歩で散策。
2日目は市内の名所を巡る予定だったため、ホテルで「市電の一日乗車券」を購入しました。
紙のチケットタイプで、ホテルで気軽に手に入るのは便利ですね。
赤レンガ倉庫では、お土産を下見して「買うのは最終日にしよう」と決め、のんびりと散策。
そんなタイミングで声をかけられたことで、思いがけない出会いと心に残る時間が生まれました。
最終日に函館朝市で食べる海鮮丼

函館山の展望台は思った以上に寒く、下山したころにはすっかり体が冷えてしまっていました。
バスを降りてすぐ、函館駅前にある、行列ができていたラーメン屋さんへ。私も並んで、温かいラーメンと餃子で夕食をいただくことにしました。
隣の席に座ったのは、なんとオーストラリアから旅行に来たという若い女性。
片言の日本語で「美味しいです」とにこやかに話しかけてくれて、異国の旅人同士、思わぬところで親近感が湧きました。
帰り際、「ハジメマシテ」と、少し違うけれど、日本語で挨拶をしてくれた彼女。
私も「さよなら」と手を振ってお別れしました。
旅先ならではの、短くも温かな交流でした。


その後は市電に乗ってホテルへ。
一日乗車券を使って巡った金森赤レンガ倉庫、そして函館山の夜景
充実した一日を思い返しながら、のんびりとお風呂に浸かって、冷えた体と心をゆっくり癒やしました。
そして、いよいよ明日は最終日。
朝ごはんは、函館朝市で楽しみにしていた海鮮丼を食べに行く予定です。
旅の楽しみは、まだもう少し続きます。
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