「最近、物忘れが増えたかも…」そんな不安を抱えていた私が始めたのは、なんと“ひとり旅”でした。行き先を調べ、乗り換えを確認し、初めての場所での出会いや発見を楽しむ――そのすべてが、まるで脳のトレーニングのよう。70代になってからこそ感じる旅の効能を、今回は「脳トレ」という視点でご紹介します。
ひとり旅が脳トレになる理由


「ひとり旅をしてみたい」と思ったものの、いざ計画を立て始めると不安だらけでした。
ホテルの予約はしたものの、「本当にちゃんと取れているのかしら?」と心配になって息子に話すと、「取れてなければ野宿だね」と笑われる始末……。
昨年、思い切って出かけた函館への旅が、私の人生初の“ひとり旅”でした。行く前は、不安しかなかったのが正直な気持ちです。
でも、新幹線の切符を手に乗車したとき、不安と同時に「もう行くしかない!」と覚悟を決め、まだ見ぬ函館の夜景を思い浮かべてワクワクしている自分に気づきました。
この旅では、計画から切符の手配、ホテルの予約、すべてを自分ひとりで行いました。正直、楽しむ余裕があるのかどうかもわからないまま出発したのですが、無事に帰ってきたときの達成感は、言葉では言い表せないものでした。
函館では、偶然にも同じようにひとり旅をしている方と出会い、写真を見返しながらその出会いも含めて旅の余韻にしばらく浸りました。
海鮮の美味しさに感動し、行きたかった場所を自由に巡る。
こうした新しい体験は、まさに脳への“良い刺激”だったと思います。
もちろん、「もっとこうすればよかったな」という反省点もありました。でも、すべて自分で決めて行動するという一連のプロセスは、まさに“脳トレ”そのもの。
・行き先や宿を選ぶ判断力
・当日の段取りやトラブルへの対応力
・現地での小さな決断の連続
ひとり旅には、脳を使う場面が本当にたくさんあります。
「次はこうしよう」「あそこにも行ってみたい」――そんな思いがまた脳を動かしてくれます。
だからこそ、今年もまた旅に出かけることにしました。


ひとり旅で感じた達成感と自信

ひとり旅をするには、出発前から頭を使うことがたくさんあります。
行き先を決めるための情報収集や比較で鍛えられる“検索力”、
交通機関や宿泊施設を選び、手配する“判断力”や“段取り力”。
たとえば私の場合、ホテルを予約したはずなのに、予約確認のメールが届かず、「本当に予約できているのかしら?」と不安になりました。ですが、実際はきちんと予約されていて、何の問題もなく宿泊できました。このように、自分で調べ、考えて手配したことがうまくいった経験は、大きな自信になりました。
旅の途中では、思い通りにいかないこともあります。
函館山に登ろうと思った時間帯に、急に雨が降り出したことがありました。私はたまたま折りたたみ傘を持っていたので困りませんでしたが、傘を持っていない方は、荷物を頭にかざしてしのぐなど、大変そうでした。
また、混雑や遅れで乗る予定だった電車に乗れなかったことも。
そんな予期しない事態に対応する“柔軟性”も、ひとり旅を通して自然と鍛えられるのだと感じました。
旅の中では、
「どこを見よう?」「食事はどこで取ろう?」「疲れないように休憩はどこで?」
といったことをすべて自分で考えて決めていきます。そうした“小さな決断”の積み重ねが脳への良い刺激になり、結果として「次もまた行ってみようかな」と思わせてくれるほどの達成感につながったのです。

シニア世代がひとり旅を楽しむコツ

「ひとり旅はハードルが高い」と思っている方も多いかもしれません。
でも、遠くまで行くのが不安な方は、日帰りのバス旅などから始めてみるのもおすすめです。小さな一歩が、自信につながっていきます。
私自身、「大人の休日倶楽部」に入会していながら、しばらく活用せずにいました。ですが、70歳を迎えたのを機に、「今こそ!」とひとり旅にチャレンジすることにしました。不安もありましたが、行ってみれば想像以上の楽しさが待っていました。
■ホテル選びのポイント
宿泊先は、誰でも名前を知っているような安心感のあるホテルを選びました。もちろん、ネットの評価や口コミもチェック。できるだけ行きたい観光地に近く、徒歩で移動できる立地を意識しました。
また、2泊とも同じホテルにしたことで、毎朝荷物をまとめる必要がなく、身軽に観光を楽しめました。
■持ち物は“最小限+備え”
荷物はなるべく少なく。必要な着替えや、折りたたみ傘、常備薬などを用意し、天気予報を確認して持ち物を調整しました。
旅の準備段階で「この服は動きやすいかな?」「寒くないかな?」と考えることもまた、脳にとっては良いトレーニングになります。
■計画も旅のうち。自由な時間を楽しんで
「大人の休日パス」があれば、JRを自由に乗りこなせます。行きたい場所を考え、時刻表を調べて乗り継ぎを計画する――そんな時間さえも楽しいひとときです。
そして実際に出かけてみると、旅先での思いがけない出会いや交流があったり、誰にも気兼ねせず自分のペースで旅ができる喜びに気づいたりします。
「ひとりって寂しいかな?」と思っていた私が、今では「また行きたい」と感じるようになりました。
ひとり旅には、“自由”と“発見”が詰まっています。

旅を習慣にすると、生活にも変化が!

旅に出かけると、帰宅後のお楽しみがもう一つ増えます。
お土産を渡す時、友人との会話が弾むのです。
「どこに行ったの?」「何を食べたの?」「どこに泊まったの?」
そんな何気ない会話が、旅の思い出をもう一度よみがえらせてくれます。
最近では、大人の休日パスを使って日帰りひとり旅を楽しんでいる友人の話をランチの場で聞くこともあり、「そんな一面があったの?」と驚くことも。
旅は、自分の世界を広げるだけでなく、人とのつながりにも彩りを加えてくれます。
■次の旅先を考える時間も楽しみに
「次はどこに行こうかな?」と考える時間もまた、旅の一部。
テレビや雑誌、本屋さんでの立ち読みが、自然と旅のヒント探しになります。
あなたは、旅の行き先をどうやって決めていますか?
目的は、神社仏閣巡り?美味しい食べ物?それとも絶景でしょうか。
私自身は、特に強いこだわりはありませんが、
有名な神社やお寺、お城などを訪れたり、
ご当地の美味しいものを味わうのが何よりの楽しみです。
新幹線の車窓から見える風景に、「どんな人が住んでいるのかな?」と想像をめぐらせるのも、密かな楽しみのひとつです。
■旅の余韻をブログで二度味わう
旅から帰ってきたら、写真を見直しながらブログにまとめるのが習慣になりました。
「どうやって行ったか」「どんな景色だったか」「何を感じたか」
そんな思い出を振り返りながら書く時間は、まさに脳の活性化。
計画から旅、そして振り返りまで――旅は何度でも楽しめる“脳トレ”だと感じています。
■次の旅が、また日常にワクワクを運んでくれる
「次の大人の休日パスは11月?次はどこに行こうかな」
そんなふうに、日常の中に“次の楽しみ”があるだけで気持ちが前向きになります。
旅を習慣にすると、
・会話が増える
・好奇心が刺激される
・暮らしにハリが出る
そんなうれしい変化が、少しずつ積み重なっていくのです。


まとめ:ひとり旅で人生も脳も元気に

年齢を重ねても、新しい体験をすることは、脳にとって良い刺激になる――
ひとり旅を通して、私はそれを実感しました。
私がひとり旅を始めたのは、70歳のとき。
「歳だからもう無理」と思い込まず、思いきって一歩を踏み出したことで、世界が少し広がった気がしています。
知らない街をひとりで歩く。
どこを見て、どこで美味しいものを食べるか。
すべて自分次第。だからこそ、考えて、選んで、行動する楽しさがあるのです。
旅先で受けた刺激や気づきは、心にも脳にも生き生きとした活力を与えてくれます。
そんな体験を多くのシニアの方に伝えたくて、私はブログに記録を残すようになりました。
帰りの新幹線で、ちょっとした出来事がありました。
窓側の席に座っていた私の隣には、海外から来た親子が座っていました。スマホを充電し、足を伸ばしてリラックスしていたお父さん――そろそろ降りる駅が近づき、「どう声をかけようか?」と迷っていると、息子さんが気づいてくれて、すっと足をどけ、キャリーバッグまで持ち上げてくれたのです。
「センキュー」と伝えると、なんと「ありがとうございます」と返ってきました。
こんな小さなふれあいも、旅の喜びのひとつですね。
ひとり旅は、自由で、ちょっと不安もあるけれど、
その分だけ得られる刺激と達成感は、何ものにも代えがたいものです。
これからも私は、旅を楽しみながら、脳も心も元気に年を重ねていきたいと思っています。
あなたも、次の一歩を踏み出してみませんか?


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