58歳の私は、パソコン入力はできても、WordもExcelもほぼ未経験。タイピングも遅く、「この年齢から覚えられるのだろうか」と不安でいっぱいでした。
それでも一般事務で働きたい一心でパソコン教室へ通い始め、タイピングの練習からスタート。知らないことを覚えていく楽しさに支えられ、一歩ずつ前に進んできました。
この記事では、私が58歳から学び始め、インストラクターとして働くまでの道のりを紹介します。同じように「私でもできる?」と迷っている方の励みになれば嬉しいです。
最初の一歩は「タイピングから」

ゆっくりでOK。毎日10分で上達
まずはパソコンの電源を入れ、Wordを開いて、思いついた文字を打ってみました。
フォントや文字の大きさは気にしなくて構いません。大事なのは「とにかく触ること」。最初の一歩は、それだけで十分です。
打ち終えたら、右上の「×」で閉じてOKです。「保存しますか?」と表示されたら、日付を入れて保存してもいいですし、文字練習だけなら保存しなくても問題ありません。
「どうすればパソコンが上手くなるのだろう?」
そんな疑問を持ちながら、私は毎日少しずつパソコンに触ることから始めました。
できれば両手で打つほうが上達は早いですが、無理をする必要はありません。片手でも大丈夫です。実際、私も日記や思いついた言葉を、ゆっくり打ちながら練習していました。
大切なのは「毎日10分続ける」こと。
続けているうちに指が自然と慣れ、気がつけば少しずつスピードも上がってきました。
Word・Excelは「できることから」
私がWordで最初に覚えたのは、文字の大きさを変えたり、フォント(字体)を変更したりといった“とても基本的な操作”でした。
特に楽しかったのがフォントを選ぶことです。
フォント名の横にある「▼」をクリックすると、明朝、ゴシック、手書き風のかわいい書体まで、さまざまな字体が一覧で並んでいます。選んだ瞬間に文字の雰囲気がパッと変わるので、「こんなに違うんだ!」と見ているだけでもワクワクしました。お気に入りの字体を見つけて、それを使って練習するだけでも気分が上がります。
文字の大きさも、フォントの右側にある「10.5」という数字を変更したり、横に並んでいる大きな「A」と小さな「A」をクリックするだけで簡単に変えられます。
また、操作ボタンにマウスを合わせると「フォント」「下線」などの説明がふわっと表示されます。これを見るだけで「このボタンで何ができるのか?」が自然とわかるので、知らない機能があっても怖くありません。
こうした“ほんの少しの操作”を覚えるだけで、パソコンに触るハードルはぐっと下がります。
私自身、初めて触ったころは不安もありましたが、ひとつ覚えるごとに「できた!」という喜びが増えていきました。
Excelも、最初は表を作る必要なんてありません。
まずは、セルと呼ばれる小さな四角に「文字や数字を1つ入れてみる」だけで十分です。
数字は自動で右寄せ、文字は左寄せで表示されること、数字にカンマが付けられることなど、触っているうちに「あ、こうなるんだ」と自然に理解できるようになっていきます。
若い人のタイピングがあまりに速くて羨ましく感じることもありましたが、毎日少しずつ触ることで、自分でも驚くほどスピードが上がりました。
「今日できたことを1つ増やす」
パソコンは覚えることが多く見えるかもしれませんが、実際は“できることを1つだけ増やす”積み重ねです。
たったそれだけで、確実に前へ進めます。
58歳の私がそうだったように、今から始めても遅くありません。
フォントを変える、小さなセルに数字を入れてみる――その一歩こそが、大きな成長につながります。
「資格があると採用されやすい」

初めての“合格体験”が自信スイッチに!
ハローワークのパソコン教室の最終日には、初心者向けのパソコン検定3級の試験がありました。
講座の中で学んだ内容から出題されると聞いてはいたものの、「本番」と思うとやっぱり緊張して、試験開始前は胸がドキドキしていました。
それでも、これまで練習してきたことを思い出しながら1問ずつ進めていくうちに、「あ、これできる」「これも教わったところだ」と少しずつ落ち着いてきたのを覚えています。
そして、結果は“合格”。
その瞬間、肩の力がふっと抜けて、胸の奥が温かくなるような達成感がありました。
「私でもできた」——この感覚が、まさに最初の自信スイッチになったのだと思います。
この合格体験があったおかげで、インストラクターとして生徒さんに説明するときも落ち着いて対応できるようになり、「学んだ分だけ前に進んでいる」という確かな実感につながりました。
小さな成功でも、積み重ねると大きな自信になる。
そのことを、私はこの試験で強く感じました。
失敗しても大丈夫。気づいた“学び方のコツ”
ちょうどその頃、パート先の若い同僚から「ITパスポートを受けるつもりなんです」と聞きました。
その言葉に刺激を受けて、「私も一緒に勉強してみようかな」と思い立ったのが挑戦のきっかけです。
実はそのとき、私はITパスポートがどんな資格なのかもよく分かっていませんでした。
「実技はなくて、4択のマークシートなら、覚えればなんとかなるかも?」という、少し軽い気持ちでのスタートでした。
ところが結果は——不合格。
合格点には50点ほど足りず、同僚は余裕の点数で合格。
その差を目にしたときは、悔しさよりも「現実をちゃんと見なきゃいけないな」という静かな気持ちのほうが大きかったのを覚えています。
同僚が見せてくれた合格証には“経済産業大臣”の文字があり、
「国家資格って本当にすごいんだ」と素直に感じた一方、
自分の実力不足をしっかり認める良い機会にもなりました。
ITパスポートは、IT・経営・マネジメントなど幅広い内容が問われる資格です。
私は過去問や模擬試験を解きながら繰り返し勉強していましたが、知らない言葉が理解できるようになっていく過程は、小さな発見の連続でとても面白く感じました。
難しいところもありましたが、「なるほど、こういう仕組みなのか」と腑に落ちていく瞬間が、まるで脳のトレーニングのようでした。
結果は不合格でしたが、挑戦して良かったと今でも思っています。
できなかったことで落ち込むより、「どうすれば覚えられるのか」「どんな勉強法が自分に合うのか」を考えるきっかけになり、私にとっては大事な“学び方のコツ”をつかむ経験になりました。
いつかまた受けてみるのも悪くないな、と今は前向きに思っています。
初心者でもインストラクターになれた理由

質問に答えられなくてOK。継続が大事
私がパソコン教室で働くきっかけになったのは、偶然立ち寄った施設で見つけた一枚の求人の貼り紙でした。
「先生の助手なら、もっと技術が身につくかもしれない」——そんな軽い気持ちで応募したところ、まさかの採用。
初心者同然の私が受かるとは思っていなかったので、本当に驚きました。
とはいえ、初日は右も左も分からず、生徒さん向けのDVDを見ながら、私自身が“一から学び直す”ところからスタート。
生徒さんから質問を受けても答えられず、冷や汗をかく毎日で、「私で大丈夫なのだろうか」と不安に思うこともよくありました。
それでも、分からないところは調べて、また次の日に備える——この繰り返しが少しずつ私を成長させてくれました。
パソコンの資格をとったとはいえ、自分が本当にインストラクターとして働くことになるとは思ってもいませんでした。
それでもなんとか試行錯誤を続け、気づけば2年間務めることができました。
退職して1年後、偶然元上司に再会したとき
「もう一度来てもらえないかと思って、職場まで探しに行ったんだよ」
と声をかけられました。
その日は私がちょうど休んでおり会えなかったようですが、その言葉を聞いた瞬間、胸がじんわり温かくなり、
「努力して本当に良かった」と心から思えた出来事でした。
「知らない」を楽しむとスキルは一気に伸びる
インストラクターとして働きながら、自信をつけるために資格試験に挑戦することを決めました。
教材を購入し、模擬試験で繰り返し練習。それを続けた結果、無事に合格することができました。
新しいことを覚えるたびに「できた!」という小さな喜びがあり、その積み重ねが楽しさへと変わっていきました。
この“楽しさ”こそが、スキルをグンと伸ばしてくれたのだと思います。
自信が付けば、生徒さんからの質問にも落ち着いて答えられるようになり、ようやくインストラクターとして胸を張れるようになっていきました。
「知らないことがある」というのは恥ずかしいことではなく、むしろ成長のチャンス。
調べながらでも、一歩ずつ進めば、誰でも確実にスキルを伸ばしていけます。
難しそうに見えて、やることはシンプル
パソコン教室には高齢の生徒さんも多く、DVD教材には載っていない、思いがけない質問を受ける機会がよくありました。ときにはその場で答えられず、家に帰ってからネットで調べ、翌日に「昨日の答えです」とお伝えすることも…。
生徒さんの「え?なんでそうなるの?」という一言に焦る毎日で、自分の知識の浅さを痛感したことを今でもよく覚えています。
しかし、インターネットで検索するコツさえ掴めば、調べる力は誰でも身につけられます。自分の力で答えにたどり着けるようになると、不思議と不安が消え、「学ぶってちょっと楽しいかも」という気持ちが芽生えてきます。
まとめ:PC初心者が踏み出す最初の3ステップ

まさかその後インストラクターになるとは思ってもいなかったあのころの私は、パソコン教室に通い始めたばかりで、一つひとつの操作が新しく、触るだけでワクワクしていました。
「どうすればパソコンが上手くなるのだろう? もっと上手くなりたい。」
その思いだけを頼りに、毎日パソコンに触り、まずはタイピング練習からスタートしました。
まずは今日10分のタイピングから
パソコンを開いたら、難しいことは考えずに、まずはWordで文字を打ってみましょう。
フォントもサイズも気にしなくて大丈夫です。
“打つ”という動作そのものが、いちばんの練習になります。
日本語入力ではローマ字を使いますが、最初はキーボードのひらがなを見て進めても大丈夫。
私も、「aiueo」と打つと「あいうえお」と表示されることに感動し、そこからローマ字入力に慣れていきました。
ローマ字表を横に置いて、ゆっくりでも両手で入力する習慣をつけると、必ずスピードは上がります。
日記でも買い物メモでも、好きなことを書いてみるだけで練習になりますし、それが最初の大きな一歩です。
Wordで“文字サイズを変えるだけ”
打ち込んだ文字のフォントや大きさ、色を変えてみるだけでも、「ボタンを押すとこうなるんだ!」という小さな発見があります。
そうした“触りながら覚える”積み重ねが、パソコンに少しずつ馴染んでいく感覚につながっていきます。
私がWordで最初にできるようになったのも、まさにフォント変更や文字サイズの調整といった、ほんの基本的な操作でした。
若い方のタイピングの速さに圧倒されることもありましたが、毎日少しずつ練習するうちに、自分のスピードも確実に上がっていきました。
やはり、基本を一つずつ重ねていくことこそ、遠回りに見えていちばんの近道なのだと、今になって実感しています。
近くのパソコン教室を覗いてみる
多くのパソコン教室では「無料体験」があります。
まずは気軽に覗いてみて、「パソコンで何をしたいのか?」を聞いてもらうだけでも、新しい発見があります。
私が勤務していた教室には、
「趣味の刀剣の情報をネットで調べたい」
という理由でインターネットでの検索方法を学びに来ていた高齢の方もいらっしゃいました。
目的は人それぞれ。
年齢も関係ありません。
“やってみたい”と思った瞬間から未来は変えられる——私はそう感じています。
パソコンに触れると、世界が広がる
パソコンを習い始めた当初の私は、
まさか自分がインストラクターになるなんて、想像もしていませんでした。
でも、人に教える立場になってから、
「自分もまだまだ学べるんだ」と気づく場面が何度もありました。
知らなかったことを覚えること、
そして覚えたことを誰かに伝えることは、実は自分自身の一番の勉強になります。
パソコンは、できることが増えるほど、
仕事や暮らしにつながる可能性も少しずつ広がっていきます。
あなたも、まずは1行の文字入力から始めてみませんか?
最初の10分が、思っている以上に大きな一歩になるはずです。


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